『Metal Doll Princess』

作 Rui 様



第4章「ヴァルキリーナンバー」


ACT2「VN―02フィーリア」


発掘現場

突如出てきた女性
その女性はこう名乗った
「…私の名はフィーリア。マスターを守る者。」
フィーリアに驚き逃げ惑う作業員
作業員と入れ替わりに現場の警備員がやってくる
フィーリアの姿を見るなり盾になる物に隠れ銃を構える警備員達
「…銃を確認。ガードします。」
そう言うと左手を目の前に出すフィーリア
「撃て―――!!!」
その言葉に一斉に銃弾を放つ警備員
しかしその銃弾は見えない壁に弾かれていた
その光景に驚く警備員達
「…終わりですか?ならこちらから行きます。」
そう言うと駆け出すフィーリア

軍部研究棟

シルヴィア私室

部屋の中で一枚の紙を見るシルヴィア
「…白き衣を纏い、空を翔る者。それに遠い昔の国。まさかね。」
そう言うと部屋の外から声が聞こえる
「シルヴィア居る〜?唯だけど。良い?」
「えっ?あぁ、良いわよ。」
シルヴィアの言葉に部屋に入って来る唯
「唯、どうしたの?いきなり来て。」
「うん、例の夢について、何か解ったかな〜って。」
「ごめんなさい。まだ何も解らないの。」
「そう。」
そんな会話が交わされると基地内の放送が掛かる
「特殊機動隊水月唯少佐。お近くの端末から司令部へ至急ご連絡を。繰り返します…。」
「シルヴィア、借りるよ!」
「はい。」
シルヴィアの返事を聞くと端末を操作し、司令部へと繋ぐ唯
「水月です。どうしました?」
―指令だ。とある発掘現場で兵器が出土し暴れている。抑えてきてくれたまえ―
「了解です。」
そう言うと通信を切り、口を開く唯
「シルヴィア、私用の神装器は完成してる?」
「えっ?えぇ、出来てるわよ。ちょっと待ってて。」
そう言うと棚を探し一つの球体を出してくるシルヴィア
「腹部ハッチ開放して。これを収めるスペースが有るから。」
シルヴィアに言われ服を捲り腹部ハッチを開ける唯
ハッチが開くと腹部にあるスペースに球体をはめ込むシルヴィア
「…何これ?使い方が自然に入って来る。」
「当たり前よ。これは貴女用なのですから。」
そう言うと腹部ハッチを閉じるシルヴィア
「はい、終わり。それじゃ、行ってらっしゃい。」
「…うん。」
そう言うとシルヴィアの私室を出て行く唯
「…古代の機械帝国ヴァルフィード。その守護兵器ヴァルキリー。…貴女がその兵器だなんてね。」

発掘現場

立ち尽くすフィーリア
その周りには傷付き、倒れている警備員の姿が有った
「…他愛も無い。」
そう言うフィーリアの周りには軍部の特殊部隊が物陰からフィーリアを狙っていた
「…スナイパーの存在を感知。……8人。神装器起動。」
そう言うとフィーリアの頭上に魔方陣が現れる
それを確認すると魔方陣を突きぬき上空へと飛び上がる
メタルブラックのアーマーを纏い、漆黒の翼を用いて上空で滞空するフィーリア
「…敵武装解析。………相手にするに値無し。」
そう言った瞬間何かを感知するフィーリア
「何か来る。………この反応は、クリス?」
そう言うと目の前に神装器を纏った唯が現れる
「貴女ね、発掘され暴れまわってる兵器って言うのは。」
唯の言葉に黙り込むフィーリア
「何か言ったらどうなの!」
「…自己データと一致。対象をクリスと認定。」
フィーリアの口からクリスと言う名が出る
「またその名前。私は水月唯!軍部極東基地特殊機動部隊の隊長水月唯よ!」
「クリス、何を言っているの?私やマスターの事忘れたの?」
「知らない!私は貴女の事なんて知らない!」
そう言うと剣を抜く唯
「クリス、やめて!」
「うるさい!!!」
そう叫ぶとフィーリアに向かい斬りかかる唯
その斬撃を剣を抜き、受け止めるフィーリア
「止めてクリス!」
「私の名前は水月唯よ!!!」
そう叫ぶとフィーリアを地面へと叩き落とす唯
地面に叩きつけられたフィーリアの側に降り立つ唯
「まだ私の事をクリスと言うのかしら?」
そう言い放つと土煙が晴れる
そこにフィーリアの姿は無かった
「居ない?…上!」
そう言うと空を見上げる唯
上空から斬撃を繰り出すフィーリア
それを受け止める唯
「貴女が水月唯と言うのなら、私は貴女を討つ!!!」

Another Character Story
IN

―セイナ―

浮浪者の集落

ふと、北西の方向に何か懐かしい気を感じた
…クリス様とは違う。だけど、クリス様に似ている
確かめなきゃ。この感じが誰なのかを
ここから北西の方向。確か発掘現場が有る筈
そこかもしれない。急ごう、手遅れになる前に

Another Character Story
OUT

発掘現場上空

向かいあうように滞空する唯とフィーリア
その中で口を開く唯
「そう言えば、貴女の名前を聞いていなかったわね。何て言うのかしら?」
「…フィーリア。」
「そう。」
そう言うと構える唯
フィーリアもそれを見て構える
「行くわよ、フィーリア。」
「えぇ。来なさい、水月唯!」
フィーリアの言葉が終わると同時に突っ込む二人
その瞬間
「止めて―――!!!」
女性の声が響く
その声に足を止める唯とフィーリア
「セイナ。」
声を上げた女性を見て最初に口を開いたのは唯
「クリス様。それに、フィーリア様。」
「セイナ、ここは一体何処?国は?マスターはどうなったの?」
セイナに疑問をぶつけるフィーリア
「フィーリア様。あれから既に500年の時が経っております。
マスターはクリス様とフィーリア様を封印された後直ぐに。」
「そう。ありがとう、セイナ。」
そう言うと唯を見るフィーリア
「何?まだやる気なの?」
そう言い放つ唯
その直後
ターン
一発の銃声が鳴り響く
辺りを見回すフィーリアの耳に唯の声が響く
「セイナ!!!」
その名前に反応し、セイナを見るフィーリア
そこには胸から血を流すセイナの姿が有った
「セイナ!」
そう言うとセイナに近づくフィーリア
出血部分に手を当て目を閉じ口を開く唯
「回線オープン。……アリス?私。神に連絡して。工房を使いたいと。お願い。」
そう言うと目を開ける唯
「フィーリア、着いて来て。彼女を助けるわ。」
唯の言葉に頷くフィーリア
それを見るとそこから飛び立つ唯
それに続くフィーリア

早坂邸

セイナを抱え玄関の前に降り立つ唯
その後に続くフィーリア
「お待ちしておりました。水月様。」
「ルイ、準備は?」
「既に出来ております。」
「ありがとう。」
そう言うと家の中へ入って行く唯
それに続くフィーリア


ACT3へ続く




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