『Metal Doll Princess』
作 Rui 様
第4章「ヴァルキリーナンバー」
ACT3「セイナ/セリス」
早坂邸ロビー
セイナを抱え外から入ってくる唯とそれに続くフィーリア
「唯女史。いきなりどうしたんだ?工房を使わせてくれだなんて。」
「後で説明する!今は時間が無いの!ルイ、工房は?」
神の言葉を遮りルイに向かい聞く唯
「スタンバイOKです。こちらへ。」
ルイに言われ工房へと消えていく唯
ロビーには神・ルーナにフィーリアが残された
工房
懸命に銃弾の取り除きと止血作業を行う唯
その横にはルイの姿が有った
「水月様、彼女は改造するのでは無いのですか?」
唯の横からルイが口を開く
「黙ってて!今はこの命を救いたいの!バイタルいくつ?」
「あっ、はい。安定しております。」
ルイの言葉に安心した表情をし、銃弾を取り出すと止血作業に入る唯
再びロビー
工房の方から姿を現す唯
「唯女史…「唯!セイナは?セイナは無事なの?」
神の言葉を遮り唯にセイナの事を聞くフィーリア
「安心して。一命は取り留めたわ。何か起きたら連絡が入るわ。」
「そぅ。良かった。」
唯の言葉に安心するフィーリア
「ちょっと待て。俺に解るように説明してくれ。」
神がその場に割り込んで来る
「説明って言っても…フィーリア、どうしたの?」
唯の言葉に神を見つめたままのフィーリアが我に帰る
「えっ?あっ、ごめん。それで、何?」
「だから説明。貴女とセイナの。」
「あっ、うん。解った。」
そう言うとソファーに座る一同
―――遥か古の時代
この付近には一つの国が有ったわ
名をヴァルフィード帝国
その国には主に仕える2体の守護兵器が居たわ
それが私と、クリス
彼女自身は否定してるけど、唯が、そのクリスよ
―――ほぅ。成る程な。その名は聞いた事は有る
―――えぇ。そしてセイナは私とクリスに仕える侍女だった
―――国はどうなったのだ?文献では自然災害で滅亡したと書いてあるが?
―――それに関しては、解らない。ただ、多数の灯りが見えていた
それが私の中に残る、マスターの側に居た、最後の記憶
マスターは最後に、「お前達だけでも、来世へと。」そう言い残したわ
閉じていた目を静かに開けるフィーリア
そんな中で口を開く神
「ヴァルフィードの国王は”アレス”と文献には載っているが、これで有っているのか?」
神の言葉に頷くフィーリア
「ふむ、そうか。だが側にいた2体の兵器については、唯女史は否定しているのだろ?」
神の言葉に頷く唯
「けれど、私も、セイナも、見間違える筈が無い!何よりも、神装器を使用しているのが何よりの証拠よ!」
「これは、軍の知り合いに着けて貰った物よ。」
「…その人の名前は?」
鋭い目で唯を見るフィーリア
「えっ?シルヴィアだけど、それが、何か?」
その名前を聞き考え込むと口を開くフィーリア
「唯、その人に合わせてくれない?確認したい事が有るの。」
20分後
ハイネに連れられ、早坂邸に姿を現すシルヴィア
「ゴメンね、シルヴィア。いきなり呼び出しちゃって。」
「別に。で、誰?私に会いたいって言う人は?」
シルヴィアの言葉にフィーリアの方に視線を移す唯
それにつられシルヴィアもフィーリアへと視線を移す
「久し振りね、シルヴィア。」
Another Character Story
IN
―シルヴィア―
唯に呼ばれた
何でも私に会いたい人が居るからと言う事らしい
唯の私用事務室に居るハイネと共に車で向かう
場所は早坂邸
個人でMetal Dollを製作・所有していると言う人物の家だ
早坂邸に着き、唯に問うと、唯は視線を移した
私も視線を移すと、そこに居たのは…
「久し振りね、シルヴィア。」
………まさか、ね
古の亡霊と出会うなんて
今思えば、発掘現場の事件を聞いた時に、気付いていなければいけなかったのかもしれない
Another Character Story
OUT
フィーリアの言葉に口を開く唯
「フィーリア、シルヴィアを知っているの?それよりも。シルヴィア、貴女ヴァルフィードと繋がりが有るの?」
疑問に思う唯を制し、口を開くシルヴィア
「繋がり?有るわよ。だって、貴女とフィーリアを作ったのは、私なのだから。」
Another Character Story
IN
―水月唯―
正直、驚いた
シルヴィアがヴァルフィード帝国に居たなんて
それよりも、シルヴィアが私とフィーリアを作った方が驚きだった
だったら何故この時代に居るの?
そして私用の神装器を持っていた理由(ワケ)は?
一体何故?
疑問が、私を貫いていく
Another Character Story
IN
―早坂神―
軍部のMetal Doll研究者シルヴィアと言う女性が来た
彼女の口から、とてつもない事を聞いた
「貴女とフィーリアを作ったのは、私なのだから。」
だとすると唯女史もMetal Doll
だがシルヴィアと言う女性もMetal Doll?
…そんな事は別に関係無い
ただ自分の為の機械人形が増えただけだ
それだけだ
Another Character Story
OUT
「ちょっと待ってシルヴィア!貴女が私を作った?
それも遥か古に?嘘でしょ?だって貴女は…「人間だって言いたいの?」
唯の言葉を遮り口を開くシルヴィア
「あの国で、人間だったのは、マスターアレスとセイナだけ。
セイナに関してはコールドスリープで時を超えさせたわ。」
シルヴィアの言葉に呆然とする唯
「なら私は、人じゃなく、機械人形、Metal Dollなの?」
「えぇ、そうよ。」
唯にキツク言い放つシルヴィア
「シルヴィア、一つだけ、聞いて良い?」
その中で口を開くフィーリア
「何?良いけど。」
「最後は、最後はどうなったの?」
フィーリアの言葉に黙り込むシルヴィア
「教えて!知りたいの。国が、マスターがどうなったか?」
「…国全土を巻き込んで消失したわ。国は勿論、敵さえも巻き込んで。無論、マスターも。」
「…そう、ありがとう。」
そう言うと口を閉ざすフィーリア
それを見て唯を見るシルヴィア
「…唯、認めなさい。貴女はヴァルフィード帝国の守護兵器、ヴァルキリーなのよ!」
そう、唯に言い放つシルヴィア
そんな中で口を開くルーナ
「お話中よろしいでしょうか?ルイから連絡が入りました。目を覚ましたと。」
ルーナの言葉に気付き工房へと消えていく唯
それを追うシルヴィアとフィーリア
神はシルヴィアに止められた
工房
「セイナ!」
そう言い工房へと入ってくる唯
「ク…唯さん。それにフィーリア様に、シルヴィア様。」
「セイナ、良いの。私は、クリスよ。」
そう言うとセイナの手を握る唯
「…クリス様、お願いがあるのですが、聞いて頂けますか?」
「えっ?何?」
セイナの言葉に疑問に思う唯
「私を、クリス様やフィーリア様と同じ、機械人形にして下さい。」
セイナの言葉に驚く一同
「セイナ、本気で言ってるの?」
たまらず口を開くフィーリア
「はい。」
決心した目で返事をするセイナ
「シルヴィア、ロビーにハイネが居ると思うから、アリスに連絡をして私が作っていた物を持ってきてと伝えて。」
唯の言葉に頷くと工房から出て行くシルヴィア
「セイナをどうする気なの?」
フィーリアが疑問に思い問う
「私自身で神装器を作っていた。これが何を意味するか、貴女なら解るでしょ?フィーリア。」
「3体目のヴァルキリーを作る気なの。」
「正解。ヴァルキリーは元々神界の運命の三女神がモチーフ。ならば3体居ても、おかしくは無い。」
「それは、そうだけど…。」
渋るフィーリア
その中で口を開くセイナ
「私は構いません。クリス様やフィーリア様と同じ存在になれるのでしたら。」
「ありがとう、セイナ。…始めるからフィーリアは外に出てて。」
唯の言葉に口を開くフィーリア
「私も、居る。」
フィーリアの言葉に疑問に思う唯
「見ていたいの。一部始終を。全て。」
フィーリアの言葉に観念したかのように口を開く唯
「解った。けど、目を背けないでね。」
唯の言葉に頷くフィーリア
「ルイ、始めるわ。サポートして。」
「はい。水月様。」
ルイの返事と共にセイナの改造を始める唯
「血管への導入完了。人工血液への置換、開始します。」
ルイの言葉と同時にセイナの身体から血が抜かれ人工血液が注入される
ものの1分程で人工血液の置換が完了する
「人工血液への置換完了。」
「それじゃ四肢をお願い出来る?私はボディと頭をするから。」
「はい。」
そう答えるとルイは足から、唯は頭から改造に入る
その様子を直ぐ側で直視するフィーリア
「え〜と、ここがこうなって。……ここがこうだから。……ここは、どうだっけ?」
悪戦苦闘しながら頭部の改造を進める唯
「ここがこうなるのだから……こうで良いのか。」
そう言うとテキパキと作業を終わらせ頭部カバーを被せる
「ルイ、四肢は?」
「全て完了しました。」
「OK。ボディに入るから手伝って。」
「はい。」
そう言うとボディへの改造に入る
始めに臓器と骨を撤去
空いたスペースに骨代わりの人工骨を設置
その後動力部となる永久機関とサポートの機械を埋め込み、外装を仕上げると完了
「良し!終わり。フィーリア、どう?」
「…セイナが望んだ事だから。」
「そう。それじゃ先行って椅子用意しといて。」
唯の言葉に頷くと工房から去っていくフィーリア
「ルイ、彼女持ってきて。」
「はい。」
そう答えるとセイナを抱えるルイ
ロビー
そこには目を閉じ座っているセイナと神・ルイ・ルーナ・唯・フィーリア・ハイネにシルヴィアの姿が有った
「それじゃ、起動させるわよ。」
そう言うとパソコンを操作する唯
すると目を開けるセイナ
「…基本プログラムOK。各リンクプログラム正常。VN―03、起動します。」
起動を確認すると口を開く唯
「おはよう。気分はどう?」
「……特に何ともありません。」
「そう。それから折角ヴァルキリーになったのだから名前、変えたいんだけど良いかしら?」
「別に、構いませんが。」
その言葉に考える唯
「う〜ん、何か良い名前無いかな〜?」
考える唯に口を開くフィーリア
「クリス。一つ良い名前があるのだけど、言っても良いかしら?」
「ん?構わないわよ。どんな名前?」
問う唯に対しその名前を言うフィーリア
「”セリス”マスターアレスが唯一愛した人間の女性の名前。」
「…良いわ。セイナ、これから貴女の名前はセリスよ。
けど、私とフィーリアだけの時はセイナでも反応する事。良い?」
「新たな名前を確認。……完了。私はセリス。VN―03セリス。…了解です。」
唯の言葉に答えるセリス
その様子を見て口を開く神
「やっぱり良いな。こう従順なのは。」
「それは貴方だけよ、神。」
「確かに。そうだな。」
唯の言葉に納得する神
早坂邸前
「ハイネ。フィーリアとセリスを送ったらシルヴィアを送って。そうしたらまたここに戻って来て。」
「了解です。」
唯の言葉に答えると車を発進させるハイネ
車を見送るとふと口を開く唯
「そう言えば神。そろそろルイのメンテじゃないの?」
「そう言えばそうだな。頼めるか?」
「えぇ。良いわよ。」
「そうか。すまない。だが、メンテナンスだけにしてくれよ。」
神の言葉にギクッっとなる唯
「ま、まさか。それじゃもしメンテ以外をしたら3日間、私を自由にして良いわ!」
「言ったな。覚えておくぞ。」
「えぇ。」
ACT4へ続く
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