『Metal Doll Princess』

作 Rui 様





三章「鷲月沙羅/レイヴン」


ACT4「変幻素材」


レイヴンの改造から3ヶ月

軍部特殊機動隊格納庫

そこに唯が居る
ふと近くに居た整備員に話しかける唯
「お疲れ様。どう?調子は?」
「あっ、お疲れ様です。そうですね、年内には稼動出来るようにはなりますね。」
「そう。ありがとう。」
そう言うとその場から去っていく唯

軍部唯個人オフィス

ドアを開け中に入る唯
そこにはルーナの姿が有った
「あれ?来てたの?」
「はい。ゲートの方で説明しましたらハイネさんに案内されまして…。」
「そう。それで何?定期メンテならまだだけど…。」
そう言うと自分の椅子に座る唯
「礼様が何やら新素材を入手したとの事でレイヴンに付ける時に協力して欲しいとマスターからの伝言です。」
ルーナの言葉に考える唯
「解ったわ。前日迄に連絡するよう伝えといて。」
「はい。解りました。」
そう言うと席を立つルーナ
「ハイネ、門の所迄送ってあげて。」
「解りました。」
そう答えるとルーナと共にオフィスから出て行くハイネ
「やれやれ。」
そう言うと天井を仰ぐ唯
「そろそろ再調整しないといけないかな?」
そう呟くと目を瞑る唯

3日後

早坂邸ロビー

そこには神・ルイ・ルーナに礼・レイヴン
それに唯とアリスの姿が有った
両手を身体の前で合わせ直立不動で
それぞれのマスターの近くで待機するルイ・ルーナ・レイヴン・アリス
その中で口を開く唯
「それで、噂の新素材ってのは、何処?」
「あぁ、レイヴン。例の奴を。」
「YES、MASTER。」
そう言うと包みを出し包みを開ける
そこには何も変哲も無い機械の右手が有った
「…何これ?これが新素材なの?」
疑問に思う唯
それを見て口を開く礼
「ではレイヴン、頼むぞ。」
「YES、MASTER。」
そう言うと機械の右手に自分の右こめかみから出たケーブルを接続させるレイヴン
それを確認し口を開く礼
「さて、この新素材は今の状態を入れて全部で5種類の素材に変換出来る。
人肌・エナメル・ラバー・マネキン、そして、メタリックシルバー。」
礼の言葉に驚く神と唯
「では、どれから試す?」
そう言うと神と唯を見る礼
それを感じ取り、口を開く唯
「今の順番で良いわ。その方が解りやすそうだし。」
唯の言葉に同意する神
「解った。レイヴン、モードをエナメルに。」
「YES、MASTER。」
レイヴンがそう答えると右手は妖艶に黒光りするエナメルへと変わった
その変わりように驚く神と唯
「ここまで変わるとは。」
「へぇ〜、凄いわね。」
その2人の様子を見て次なる指令を下す礼
「レイヴン、次はラバーだ。」
「YES。」
そう言うと色は人肌の色に変わるが、妖艶な感じが抜けない状態に変わった右手
「触ってみてくれ。」
礼の言葉に右手を触る神と唯
「…成る程、ラバーになってるわね。」
「礼、これではダッチワイフだ。」
「それもそうかもしれんな。レイヴン、マネキンモードだ。」
微笑しながらレイヴンに次の指令を下すと、光沢感を増す右手
「今度は硬いわね。本当にマネキンみたい。」
率直な感想を漏らす唯
「最後は、メタリックシルバーだったよな?」
「あぁ。レイヴン。メタリックシルバーだ。」
「YES、MASTER。」
礼の言葉にそう答えると、銀色に輝く状態へと変わる右手
「ここまで来ると凄いわね。」
素直に関心する唯
「ルイ、今のを見ていてどう思う?」
「はい。大変良い素材だと思われます。」
「そうか。」
そう言うと再び新素材の方を向く神
「それでこれをレイヴンに装着させると?」
疑問口調で礼に声を掛ける唯
「いや、レイヴン自身の肌を、この素材に付け替えるんだ。出来るか?」
礼の言葉に悩む唯
「素材の方は既に調達して有る。表に止まってるトラックがそうだ。」
「えっ?あれそうだったの?…少しだけ呆れるわ。」
「それで、出来そうか?」
「…やるだけやってみるわ。アリス、サポートお願い出来る?」
「はい。」
そう言うと頷くアリス
「それじゃトラックの中に一通り設備が整っている。そちらで良いか?」
「構わないわ。」
唯の言葉に感謝の言葉を言う礼
「レイヴン、これから目が覚めて私の姿を見る迄彼女の言う事に従ってくれ。」
「YES、了解しました。MASTER。」
「それじゃ行きましょう。」
そう言うと居間を出て外に止まってるトラックに入って行く唯・アリス・レイヴン
「無事に終ると良いんだが。」
「大丈夫だろう。唯女史を信じよう。ルーナ、2人分の毛布を持って来てくれ。」
「はい、了解致しました。」
そう言うと居間から去っていくルーナ
「気長に待つとしよう。なっ?」
「…あぁ、そうだな。」
神の言葉に答えると外を見る礼

トラック内

中に入り口を開く唯
「驚き。設備の充実さは半端じゃないわね。」
中を見回しているとレイヴンが素材を持ってくる
「水月様、こちらになります。」
「へぇ〜、それじゃ始めようか?」
「「はい。」」
唯の言葉に同時に答えるルイとレイヴン

ベットに寝て停止状態のレイヴンを挟む形で向かい合う唯とルイ
停止状態のレイヴンを見て考え込む唯
そんな唯を見て口を開くルイ
「どうなされました?」
「…何でもないわ。始めましょう。」
「はい。」
唯の言葉に応え作業に入るルイ
「貴女は先ず足から。それが終わったら腕を。」
「はい。解りました。」
そう応えると脚部から新素材への変換作業へ入るルイ
それを見て頭部から変換作業に入る唯

10時間後

ロビー

そこには停止状態のまま椅子に座り目を閉じているレイヴンと、その真横に唯
そしてそれを見るように神・ルイ・ルーナに礼の姿が有る
「待たしてごめんなさい。結局夜通しになっちゃって。」
「気にするな。頼んだのはこちらの方だからな。」
唯の言葉の後口を開く礼
「そう言ってくれると嬉しいわ。それじゃ、起動しましょうか。」
そう言うとノートパソコンを操作しレイヴンを起動させる唯
静かに目を開き立ち上がるレイヴン
「各機能問題無し。…おはようございます、MASTER。」
「おはよう、レイヴン。では、早速始めようか。」
そう言うと唯を見る礼
「OK。んじゃ先ずはエナメルね。」
そう言うとノートパソコンを操作する唯
それと同時に全身が黒色のエナメル素材へと変わるレイヴン
「大丈夫みたいね。んじゃ次はラバー。」
そう言うとノートパソコンを操作する唯
それと同時に黒色のエナメルから飴色のラバーへと変わるレイヴン
「サンプルよりも凄いな。」
その様子を見て関心する神
「これも大丈夫みたいね。次はマネキン。」
そう言うと肌色へと代わり光沢感をかもし出すレイヴン
「ルイ、触ってみて。」
唯の言葉にレイヴンを触るルイ
「感触は硬いです。」
「ありがとう。大丈夫みたいね。んで次が最後。メタリックシルバーね。」
そう言いノートパソコンを操作する唯
それと同時に肌色の光沢感からメタリックシルバーへと変わるレイヴン
「中々だな。レイヴン、どの素材が一番気に入った?」
感想の後、レイヴンへと向かい口を開く礼
「はい。最初に変換した素材が気に入りました。」
「OK。自分の意思で変えれるようにするからそれまで人肌で待ってて。」
そう言うとレイヴンの肌が普通の人肌に戻る
それを横目にキーボードを打ち込む唯
その作業も2〜3分で終わった
「これで大丈夫よ。レイヴン、貴女の意思で素材を変えれるわよ。」
「良かったなレイヴン。」
「YES、MASTER。」
「それではエナメルへと変換しろ。」
「YES、MASTER。」
そう言うとレイヴンの肌が黒色のエナメルへと変わっていく
その途中で突然動かなくなるレイヴン
「レイヴン!」
「エ、エラー発生。ガガッ、エ、エラーを、エラーを、しょ、処理して、して。」
「レイヴン!!!」
思わず叫ぶ礼
その様子を見て必死にノートパソコンでキーボードを打つ唯
「エラーチェック!…プログラムロック!…受け付けない!」
「レイヴン!!!」
「唯女史!どうにか何かならないのか!」
神に問われる唯
「くっ!」
そう言うとノートパソコンにつながれていたケーブルを
自身の右こめかみからケーブルを出しレイヴンに接続する
「エラーサーチ。………HIT!プログラムリペア。………ふぅ、大丈夫よ。」
そう言ってケーブルを戻し神達の方を見る唯
「…どうしたの?」
「ゆ、唯女史!君はロボットだったのかね?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
「そんな話は聞いていない!」
お気楽な唯に驚きを隠せない神
「そもそも!そんなに驚く事なの?」
「勿論だとも!これだけ理想の女性がMetal Dollだったのだ。
これが興奮せずに要られるか!!!」
「んで、結局私に対して何がしたい訳?」
「無論従順な人形にして遊ぶのだよ!」
神がそう言った直後、唯のグーが入る
「マスター!!!」
同時に叫ぶルイとルーナ
「アンタバカァ?」
唯の言葉に呆然とする神
「私はこれでも軍の機密指定を受けているのよ!それで遊ぶだなんて、呆れるわ!」
そう言うとノートパソコンを片付ける唯
「全く、信じられない。アリス、行くわよ。」
「は、はい。」
そう言うと唯に付き、早坂邸から去っていく唯
「私は諦めんぞ、唯女史。」



―――MASTERが望むのなら、私は私に誇りを持てます


三章「鷲月沙羅/レイヴン」
END

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