『Metal Doll Princess』

作 Rui 様





一章「和泉瑠衣/Rui」


ACT3「従順」


ルイ改造から一週間経った早坂邸

早坂邸工房

「アリス、ルイの様子はどうだ?」
神の言葉にノートパソコンを打ちながら答えるアリス
「今だ自我領域が抵抗をしております。」
「…どうにかならないのか?」
「時間を掛ければ…。」
アリスの言葉に溜息を付く神
「…アリス、今日は中止だ。それと唯女史に連絡を入れといてくれ。」
「はい。」
そう言うとノートパソコンを閉じるアリス

神私室

「ふぅ。」
溜息をつくとリクライニングチェアに寄りかかる神
ここ一週間以内のアリスから出されたルイに関する報告書に目を通し再度溜息を漏らす
「どうした物か。」
そう言うと報告書を机の上に投げ出す
そのまま天井を見上げるといつの間にか眠りに入る神

コンコン

神が眠りに入ってから5分程経った後
ドアをノックする音が聞こえる
「マスター?」
外から聞こえた声はアリスだった
ドアを少し開け中の様子を伺うアリス
中で眠りに入ってる神を見つけると部屋の中へ入り掛け布団を用意し、神に掛けるとそのまま部屋を出るアリス

翌日

朝になり目を覚ます神
「…ん、いつの間に。」
そう呟くとふと自分に掛かってる掛け布団に気付く
「…アリスか。…礼を言わんとな。」
そう言うと掛け布団を背もたれに掛け、着替えるとロビーに降りていく

ロビーに降りるとそこにはアリスが居た
「おはようございます。マスター。」
「おはよう、アリス。唯女史はまだかい?」
「もうまもなく来られるとの事です。」
「そうか。ありがとう。」
「それではご飯を用意致します。」
「すまない。」
神の言葉を聞くとお辞儀をし、厨房へ去っていくアリス
「…お礼を言い忘れた。まぁ良いか。
マスターである私の事を第一に考えていてくれているしな。」
そう言うとロビーのソファーに腰掛ける神
「お疲れ〜?」
何処か気の抜けた女性の声が聞こえる
「唯女史。いつのまに来ていたのだね。」
「ん?今。」
「そうか。」
「んで、今日呼んだ理由は?」
「まぁ、飯を食べながらでも良いだろう。アリス!唯女史の分も用意してくれ!」
厨房へ向かって叫ぶ神
「解りました!」
大声で返事が返ってくる

しばらくしてご飯が届く

「んで、今日私を呼んだ理由は何なの?」
「ん、あぁ、ルイに関してだ。」
「ルイに?何か問題でもあるの?」
「あぁ。改造して一週間経つんだが、未だに自我領域がプログラムを拒んでるんだが。これは殆どそうなのか?」
「…初めて聞く事例ね。けど、私の持ってきたプログラムで何とかしてみるわ。」
「そうか。食べ終わったら直ぐにでも。」
「えぇ。」
そう言うとご飯を食べる二人

早坂家工房

改造室にはルイが嫌そうな顔をして座っている
調整室に神達が現れると罵倒するルイ
「…相変わらずね。」
唯が呟く
「この一週間ずっとあの調子です。」
アリスが横から発言する
「そぅ。アリス、外部入力は受け付けてるわよね?」
「はい。常時そう設定されております。」
「OK。」
そう言うとノートパソコンを取り出す唯
「唯女史、一体何をしている?」
「ん?とりあえず現在のルイの状態を見てるの。…成る程ね。ちょっち弄くるけど、良い?」
そう言うと神の方を向く
「それで良くなるのか?」
「勿論。自我領域をプログラムに従うようにするわ。」
「そんな事出来るのか?」
神の言葉にニヤリとする唯
「私を舐めるんじゃないよ。」
そう言うとノートパソコンを打ち込む唯
それと同時に倒れこむルイ
「ルイ、シャットダウンしました。」
冷静に説明するアリス
ノートパソコンを打ちながら色々と呟く唯
「成る程。……へぇ〜。ここをこうすれば。……こんな感じかな?」
そう言うとノートパソコンから手を離す

―――――白い世界。またここで私は、もう一人の私と出会う
また会ったわね。もう一人の私。
―――――ルイ。私はどうなるの?
さぁ、けど私が主人格となるでしょうね
―――――なら、私は?私はどうなるの?
…さぁ、それは解らないわ
―――――解らないって…、あれ?何か、眠い
眠りなさい。深く、深く、深淵へと
―――――あ…うん。あと…お願い……ね
…おやすみなさい。これからは、私が貴女の変わりになるから

「とりあえずこんな感じかしら?それじゃ起動させるわよ。」
そう言うとノートパソコンを操作しルイを起動させる
起動し、起き上がると辺りを見回す
「…アリス、彼女をここへ。」
「えっ?」
そう言うと神を見るアリス
アリスに対して頷く神
「それでは連れて参ります。」
そう言うと調整室から出て行き、改造室に入る
そして改造室からルイを連れて来るアリス
「連れて参りました。」
「ご苦労。…さて、君の名前は何だ?」
ルイに対し言葉を投げかける神
「…私は、ルイ。」
「ルイか。君は何だ?」
「はい。私はマスターに仕える機械人形。」
「君のマスターは?」
「……。」
神のその質問にだけ黙り込むルイ
「どうした?何故黙る。」
「…私にはまだ、マスターが登録されておりません。」
「…そうか。ではマスター登録をしよう。」
神の言葉に電子音が鳴る
「…マスター登録を致します。名前をどうぞ。」
「早坂神。」
「…名前を登録。容姿を登録致します。私の前にお立ち下さい。」
「こうか?」
ルイの前に立つ神
「…完了。マスター登録を完了。早坂神をマスターとして認めます。」
「…唯女史。彼女に一体何をした?」
「秘密。けど、従順になるプログラムを打ち込んだだけ。」
「…そうか。さてルイ。君は私の何だ?」
「はい。私はマスターに仕える機械人形です。」
「そうだ。良く解っているな。」
ルイの言葉の後ルイを撫でる神
そんな中唯が割り込んで来る
「さ〜てと、アリスの中にあるデータをルイに移すわよ。」
「…頼む。」
「OK。アリス、ケーブル出して。んでそれをルイに接続して。」
「はい。」
唯の言葉に答えると側頭部からケーブルを出し、ルイに接続する
「事前コピーは済んでるわよね?」
「はい。」
アリスの返事を聞くとノートパソコンを操作する唯
「んじゃ転送開始。」
唯がそう言うとアリスから電子的な声が聞こえる
「データの転送を開始。………データを転送中。」
アリスの電子的な声に思わず口を開く唯
「良いね〜、この電子的な声。」
「データを転送中。……………データを転送中。…現在60%移行完了。」
そこから20秒ぐらい立つとルイとアリスから声が漏れる
「「データの転送を完了しました。」」
その声を聞きルイからコードを引き抜くと口を開く唯
「アリス、コードを仕舞って。ルイは今転送されたデータをダウンロードして。」
「「はい。」」
それぞれ答えるとアリスはコードを仕舞い、
ルイはデータのダウンロードを開始した
「現在データのダウンロード中です。」
ルイから電子的な音声が漏れる
「…現在データのダウンロード中です。」
2分ぐらい経ちルイから電子的な音が漏れる
「ダウンロード完了。」
「ルイ、そのままダウンロードしたデータをインストールだ。」
ルイのダウンロードを確認し口を開く神
「はい。データをインストールします。………………インストールを完了しました。」
「これで彼女は従順な機械人形よ。」
「済まないな、唯女史。」
「良いの良いの。それよりアリスの事だけど。」
「オーバーホールか。」
「えぇ。結構かかるかもしれないわ。形式が形式だけに。」
「そうか。…アリス。」
「マスター。お世話になりました。」
「何を言ってる。ただ単にオーバーホールするだけじゃないか。」
「はい。それは解っているのですが…。」
不安な表情を見せるアリス
「大丈夫よアリス。私は貴女のメイカー(製作者)よ。貴女の事なら全て解ってるのよ。」
不安なアリスに声を掛ける唯
「ボディ自体は変わる可能性があるかもしれないけど、貴女と言う存在は変わらないから。」
「…はい。解りました。それではマスター。失礼致します。」
「あぁ。」
「そんじゃまたね。」
そう言うとアリスと共にそ調整室から去って行く唯
少し悲しそうな目でそれを見送る神
「マスター、どうなされました?」
「ルイ。いや、なんでも無い。それでは今日から色々と頼むぞ。」
「はい。マスター。」

―――マスター、忠実な機械人形のルイを、どうぞよろしくお願い致します

―――マスター。アリスの事を、忘れないで下さい


一章「和泉瑠衣/ルイ」


終わり




後書き
え〜再びどうもです。
とりあえずルイ編はこれにて終わりです
とりあえず短かったですが、どうでしたか?
まぁ色々言われそうな気もしますが
次回は2人目の犠牲者、って言って良いのかな?
更科瑠美那嬢です。お楽しみに
夢野瑠衣でした




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