『双子のパーソネイター』

作 シンゲツサイ 様


フィーナ編 4


 雲に覆われ、風もない穏やかな霜朝に(実際は雪に覆われ霜どころではない)、キヴォーキアン教授が訪ねてきた。

「どうしたんです突然……ああいや、私は構いませんが。とりあえず中にお入りください、ここは冷えますから」

 薪ストーブは付けるのには時間がかかる、僕は石油ストーブに火を入れ、その前に教授を招き入れた。
 インスタントのコーヒーを煎れ、申し訳程度に差し出す。
 教授は受け取り、何も入れずにそのまま口へ運んだ。

「こんな時間に来るとは思いませんで、部屋が暖まっていませんが……」
「気にするな、こういう環境には慣れている」
「……そりゃあ極地でのキャンプに比べればそうでしょうけれど」

 目の前に座っているのは、考古学者のキヴォーキアン教授。兄の研究を支援してくれていた人だ。
 大学の椅子に座っているタイプではないらしく、秘境や極地での活動が多いという話を、兄から聞いたことがある。
 一目でわかるほど頑健な体つきが、その生活を象徴しているように思う。
 あくまで「表向き」の話だけれど。

「さて、本題だが……」

 教授の本題とは、今後の支援についてだ。兄の失踪を受けて、支援を見直したいと言うのだ。
 僕は昨日、その検討材料として技術を見たいとの申し出を電話で受けた。
 そう、昨日だ。僕にはプレゼンテーションのための準備なんて全く出来てない。
 しかし教授の態度には、そういった言い訳を許さない一種の威圧感があった。

「解っています。では……」

 引き継いだ資料、設備の状態、手持ちの資材などについて、僕は一通りの説明を始めた。
 所々でどもる僕の話に相づちをうつでもなく、教授はコーヒーを飲みながら、ただ黙って聞いている。
 あまりに無反応で、教授の機嫌をうかがい知ることは出来ない。

「以上が僕の現状です……努力はしますから、出資の継続はして頂けないでしょうか。生憎と、僕には頼る先がありません。ですから……」
「見せてくれないか」

 口を開いたかと思えば、教授は僕の話を遮って何かを見せろと要求してきた。

「え、っと……何を、でしょう?」
「私が知らないと思っているようだな、君がパーソネイターの試作型を一台、引き継いでいることを」

 ガシャン!

 驚いた拍子にカップを落とし、粉々に割ってしまった(我ながらベタなリアクションだと思う)。
 兄の失踪のことといい、ここで密かに改造したフィーナの情報といい、僕と兄しか知り得ないはずのことを何処で知り得たのだろう。

「ど、どうしてそこまで?」
「私の商売は情報が命なんだ。命そのものである情報源は聞かずにおいてくれたまえ」

 あわてる僕を見て、教授は悪戯っぽい笑みを浮かべる。
 考えてみれば、教授は失踪直前の兄と会ったのかもしれない。
 だとしたら、フィーナの現状を教授は承知で、こんなことを言っていることになる。ここで下手に断ると、同時に出資も断られてしまうだろう。

「……解りました。今お持ちします」

 お辞儀をしながら応接間を出て、僕はフィーナのある地下室へと向かった。



 中にはすっかり電気を抜き、虚ろになったフィーナがフックでつり下げられている。
 この、人間らしさを大いに損なったツギハギだらけのフィーナが、本来の用途から遠いと酷評される様子が目に浮かぶ。
 でも、やらなければ何も進まない、剥き出しの基盤を傷つけぬよう、慎重に床へおろしていく。
 まるでクレーンゲームのようだ。

「こんなことなら充電しておけばよかったな……」

 ケーブルを繋いだとしても、応接間まで距離がありすぎる。仕方なくランドセルほどもある予備のバッテリーパックを取り付け、電源を入れた。

『システムチェック・・・・・・・・』

 今日来ると知っていれば、せめて剥き出しの放熱板にカバーを付ける位できただろうに。
 電源が入るとフィーナは背中の機械をきしませ、ゆっくりと立ち上がった。

「ウォームアップしてる時間はない。行くぞ、ついてきなさい」
『……おおせのままに』

 フィーナは歩きにくそうに、よたよたと僕についてきた。



 準備を終えた僕はフィーナを廊下に置き、教授の待つ応接間へと入る。

「先に断っておきますが、僕は兄の……」
「能書きは見た後にしてくれ」
「……」

 嫌な予感が募っていく。鼻で大きく呼吸をしてから、僕はフィーナに呼びかけた。

「フィーナ、入ってこい」
『ますたーのおおせのままに』

 ぱたんと開け放たれた扉から、壊れた人形のようなフィーナが顔を出した。
 ……そう、壊れているように見えるのだ。
 教授は顔にしわを寄せ、横目で僕の顔を見る。

「私が知っている仕様と異なるようだが?」
「……故障したので、僕が改修しました」
「詳しく説明してくれぬか? 変更した点だけでいい」
「ええ、代替に使用したサーボモーター、ジェネレーターはサイズ、発熱量共に兄の作ったものに劣ります。かといって、高性能なオリジナルフレームを使わなくてはパーソネイターとしての機能が発揮できません。仕方なく、はみ出たまま固定して使っています。金属片が肌を突き破り生えているように見えるのは、熱源直結の放熱フィンを用いているためです」
「それで、性能はオリジナルと比較して如何ほどのものか?」
「……出力は六十五パーセント、反応速度が四十パーセント、稼働時間は十五パーセント、理解能力は約十パーセント、エア残留値……人としての心は、一パーセント未満だと思われます。しかし、メンテナンスフリーの部品を多く使いましたので、維持は容易になりました」

 道に捨てられた空き缶を見るように、教授はフィーナを流し見た。
 この僕を疑問視していると、あからさまに伝えているようだ。

「ご容赦ください。僕にとっても、兄の失踪は急なことだったんですから……続けてよろしいですか?」
「まあいいだろう。始めてくれ」

 緩慢な動作でポケットからリモコンを取り出し、身動き一つしないフィーナの方に向き直る。

「フィーナ、こちらはキヴォーキアン教授。あいさつしなさい」

 リモコンを操作すると、先ほどまで静止していたフィーナの胸部に取り付けられたランプが点灯し、ゆっくりと口を動かし始めた。

『ピッ……はじめまちてきぼーきあんさま。あたちはぱーそねーたー……』

 舌っ足らずな調子で話すフィーナを調整するために、僕はリモコンで設定を変更する。

『ピッピピッ……パーソネイター、試作型七号機デス。オ客様ノ要望ニハ、可能ナ限リ、オ答エ致シマス』

「お恥ずかしいことに調整が完全ではありませんので、口調もこの通り不安定です」
「途中で切り替えたようだが、あれは脳独自での処理をプログラム処理に変更したんだな?」

 驚いたことに、教授は僕の操作を見抜いていた。本当に、この人はどこまで知ってるんだろう?

「その通りです。初めのものは独自思考による発音ですが、あの通り聞き取りづらいので、発音用のプログラムを別途組み込みました」
「そんなことをすれば人間らしさが損なわれてしまうのではないか?」

 わざとらしくフィーナを流し見てから教授に向き直る。

「もう、取り返しのつかないレベルでしたので、機能回復を重視したまでです」
「わかった、続けてくれ」
「フィーナ、僕らの回りを歩いて見せろ」

『ピピッ……ハイ、マスター』

 動くたびに関節がこすれるグイグイと音を鳴らしながら、フィーナはよたよたと歩き出した。
 僕の横を通り過ぎると、バランスを崩さぬようゆっくり九十度向き直り、今度はキヴォーキアン教授に向かって歩き出す。
 こうした動作を繰り返し、フィーナは再び僕の前までやってきて、直立不動の姿勢で動作を終えた。その表情に変化の色を見ることはできない。

「損傷が激しかったため、ほとんどモーションプログラムに従って動くことしかできません。言い訳させて頂ければ、故障前は僕から走って逃げるほどのパフォーマンスを発揮していました」
「そうか……」

 動作を終え、ただその場で停止していたフィーナが突然口を開いた。ランプの点灯から見て、注意か警告のたぐいだろう。

『バックパックエネルギー残量、二十パーセントヲ下回まmaマワリマシタ。保護ノのno……のため、機能を制限しますか?』

 警告はエネルギー残量のことだった。まてよ、この事態を理由に検証を止めることはできまいか。そうすれば、これ以上失態を犯さなくて済む。

「教授、これ以上の検証はその……必要ないかと思います。せめて解析を終えてから、再び訪ねては頂けないでしょうか。今は予備バッテリーのみで動いていますので、もうそれほど動かせませんし」
「電源が切れるまでそのままにしよう」
「え?」
「低電圧でどこまで動けるのか見たい。不都合はないな?」

 電源不足のランプが静かに点滅しているが、動作自体は安定しているようだ。いけるか?
 教授の言葉に威圧感を感じた僕は、しぶしぶ従うことにした。心証をよくするためにしたことが裏目に出ては敵わないから、ね。

「わかりました、検証を続けましょう。フィーナ、エネルギー残量のリミッターを解除し、残量五パーセントを切ってもスリープせぬよう設定しろ」
『ピッ……命令了解、処理実行』
「僕らの回りを歩け。命令を取り消すまで実行し続けろ」
『マスターの、オオセのままに……』

 再び体を軋ませ、フィーナはゆっくりと歩き出した。全く同じ歩数と動作だが、エネルギー不足のせいで動きが緩慢になっている。
 二周ほど回ると、フィーナは突然立ち止まった。

『ガピッ……ネneね熱量ガがga……ピッ、一定値ヲ超エマした。保護のため運動を停止します』
「ああ、熱暴走か。仕方ない、停止……」
「続けさせろ」
「……フィーナ、全保護機能を停止し、僕の命令を最優先項目に変更」
『ピッピピッピッ……処理完了。命令継続シマス』 

 熱暴走を起こし出力が低下してもなお表情を変えず、フィーナは歩き続けた。歩く速度は徐々に遅くなっていく。

「ピピッ、ガガ、ピガガ……ピーーーー」

 ガシャン

 十周ほどして、フィーナはうつぶせに倒れてしまった。
 基盤が剥き出しの状態であんな転び方をして壊れなかったかな? 本当は壊れていないかチェックしたいのだが、教授の目を気にして控えることにした。

「フィーナ、報告しろ」
『エeえねるgiぎギー残Ry……meめメいレreジッk』

 エネルギーが演算装置に回らず、処理にも支障をきたしているようだ。
 それでも命令を実行しようとしているようで、指先のモーターを回そうとしている。ハングアップしないその性能には満足だが、残されたエネルギーでは動くには少なすぎて、モーターがガリガリと空回りしてしまっている。
 徹夜で修理にあたらなければいけないかもしれない。
 教授は立ち上がって、フィーナの元へとかがみ込み、熱暴走を起こしている腰部関節を注意深く調べだした。
 僕以外が触れると警告メッセージを出すようにしてあるのだが、エネルギー不足のためだろう、フィーナは抗うことなく教授の指を受け入れている。
 ふと夜の用法を思い出し、息をのむ。

「球体関節か、維持と剛性を考えれば優れていると言えるな……して、この機能は設計段階から備わっているのかな?」

 そういいながら足を開かせ、本来フィーナの膣にあたる部分に指を入れたまま、僕に見せた。

「えっと、その……」

 返答のしようがなかった。
 これは間違いなく設計当初からあったものだ。それは伝えても問題ないだろう。
 だが、理由を追及されたら? 「僕が幼女趣味だったので、兄が気を利かせて付けてくれました」などと正直に言えようか? いや、言えまい。
 それ以前に、資金がこんな使い方をされているのだから、見るからに厳しそうなキヴォーキアン教授の逆鱗に触れかねない。

 しかし、教授は恐れいって震える僕が思いもしなかったことを口にした。

「……これならいいだろう。出資を続ける」
「へ?」

 思わず聞き直す。いや、まさか……

「なに惚けた顔をしている。喜ばないのか?」
「あ、いや、だって……」
「ロクに教わりもせず、データの解析すらままならないというのにパーソネイターを改装し、独自の機構まで作り上げる技量には価値がある。作り替えることに気後れず、弄べる程度の狂気も備えているようだしな」

 ゆるみきった顔で呆然とする僕にそれだけ話すと、教授は「これで帰る」言いのこし、さっさと帰ってしまった。
 少しの間をおいて、僕は我に返った。

「……や、やったあ!」
『ガ……』

 うれしさのあまりフィーナを抱きしめる。
 とたんに全身が痙攣し、痛みが走る。フィーナがショートしているのに気付かなかったためだ。

「いたた……もう、痛いじゃないか!」

 ガシャン!

 足下に転がるフィーナを蹴飛ばし、僕は少し遅い朝食を取ることにした。



 教授がかえった日の夜。僕はフィーナの調整を一通り終え、デスクに座っていた。
 自分の両手を見つめる。
 この腕に巨額の資金を出す人間がいるんだ。そう、この僕の腕に。

「にへへ」

 今日の作業は終わったのだが、興奮が冷めないため、こうして時間を潰している。
 そんなとき、調整のため手足が外され宙づりになっているフィーナが目に入った。
 興奮も後押しし、僕は久しぶりにフィーナを使うことを思いついた。

 瞳を暗くしたフィーナにケーブルを繋ぎ起動スイッチを押す。

『システムチェック・・・・・・・・』

 動作を示す画面が青く染まっていく。顔は動かないはずなのに、どこか目覚めてゆくように見える。

『ガガ……手足ガ接続サレテイマセン。システムヲ停止シマスカ?』

 頭にケーブルを差し込み、警告の停止をキーボードから直接入力していく。
 音声認識システムは改造した脳に依存するため、覚醒が完全でない起動直後には、制御システムを直接操作した方が伝達が早い。

『ガ、ガガ……ピーーーーー』
「よし」

 故障して以来、この機能を使っていなかったけど、壊れた様子はなかったから、これで使えるはずだ。

『ガピ……moモもーどがへんこうされまちた。ますたー、おたのしみください』

「あちゃ〜そういえば、夜用の言語プログラムなんか組まなかったっんだよね。まあ、今日くらいはいいかな」

 濡れていることを確認してから、パンツをおろし、宙づりのフィーナを抱きかかえるようにして、そっと中へ押し込む。
 メンテナンスしたかいもあってか、なかなか具合がよい。

「フィーナ、信号の状況をアナウンスしろ」

 フィーナは無表情に、淡々と答える。

『ますたーのうごきにあわせて、かいせきふのーのしぐなるがはっしんされています』
「気持ちよくはないか?」
「しーくちゅう……らいぶらりに、きもちいいとかんじたきろくがのこっています」

 以前使ったときのライブラリ(記憶)のことだろう。
 あのとき、本当に気持ちいいって感じてたんだ。ふふ、僕の腕も悪くないね。
 でも、今のフィーナはいくら強くしても「しぐなるがつよまりました」としか言わない。

「ちょっと張り合いないけど、これもかわいいし、いいかな」

 結局、フィーナは最後までつやのある言葉を言わず、天井を見つめるばかりだった。


○エピローグ○

 約十年後、ギュー私設研究所、所長室デスク前。

「ええ、成功です。今回いただいたサンプルは、社会に放り出しても、易々とは気付かれない出来です」

 木造の小さな診療所を潰し、二階建ての研究所に建て替えて久しい。外から見るには何の研究所かわからないが、人の出入りは頻繁のようだ。

「わかりました、一週間後納品と言うことで……では」

 今年で三十、以前の兄と同じ歳になったギュー=ゲイズレッドはそっと受話器を置き、デスクに設置されたディスプレイに向き直った。

「ふう、相変わらず面倒くさい人だよ。僕と直接じゃなきゃ話は出来ないって言うんだから。せっかく受付係まで都合したのに、ねえ?」

 ため息混じりに、ギューは傍らに立つ少女に話しかける。

「’僕一人‘でやってるってこと忘れてるよ、絶対」
『……』

 数年の解析の末、ギューは兄の技術を完全に再現するまでになっていた。成功率は五割ほどだが、本人に気付かれずに改造することもできる。
 この高い技術を支えているのが、ギューが初めて触れたパーソネイター、PX07である。
 助手として使用できる状態ではなかった彼女だが、フェリューがギューの為に用意していたツールを使うことで、心を除くすべての機能を回復することが出来た。
 優秀で従順な助手兼コンピューターを手に入れたギューの研究は加速、結果スポンサーから多くの資金を引き出し、新しい研究所を建設した。

『マ、スタ……ビ、ガリガリ……』

 しかし、最大の功労者と言えるPX07は、十年の稼働で使用限界を迎えつつあった。
 歩行等の機能が失われたため、今は半円をくりぬいたような形のクレードルに固定され、コンピューターとして使用されている。

「そろそろ壊れそうだな……無理もないか。今年で二十年、生身と同じくらいの時間、機械でいるんだ、仕方がない」

 放熱のため開閉部はすべて開き、そのほとんどにケーブルが接続されたその姿は、岩を掘り抜き作られた彫刻のようにも見える。

『ガガ……ケ、ケイサンケッカ……イシリョウイキ、ザンゾン86パーセント……』

 PX07が計算結果を口走っている。同様の報告はすでにディスプレイ経由で出力済みなのだが、最近は指示せずとも口答で反復してしまうと言った不具合も多いようだ。
 そのトラブルを、ギューが気にとめる様子はない。

「さて、作業はこれで一段落。あ〜おなか減った」

 必要な入力を終え、ギューは部屋から立ち去った。照明も落とされ、暗い部屋の中でPX07のLEDランプだけが静かに光を放っている。

『ガリガリガリ……マス、タ、キモチ、イイ……』

 処理を継続していたPX07が口を開いた。負荷に応じて快楽を感じるよう作られたプログラムが誤作動しているようだ。
 直後、LEDランプが激しく点灯し始めた。不具合を示す信号だ。

『ガガガ……イジjoジョウハハハヴァッ……』

 最近、こういった脳の暴走による不具合が多い。その際は電脳鎮静液が自動で注入されるようになっている。
 だが、前回の暴走の時、ギューは補給を忘れていた。
 機械が軋み、あちこちで火花が散っている。

『ヴヴヴヴヴ……』

 次第にきしみは収まり、LEDの赤い点灯ランプが、次第に消えていった。

『マス、タ……イジョ……ガチュウゥゥ……』

 一時間後、ギューは壊れたPX07を前に腕を組んで立っていた。

「やっちゃった……バックアップが完全でないデータを取り出すのはいいとして、代わりを探さなきゃなんないなあ……」

 おもむろに受話器を取り、ギューはスポンサーであるキヴォーキアン教授に電話をかけた。

「もしもし、すみませんが十代でなるべく若い少女を一人都合してくれませんか? はい、女性の方が痛みに強い性質がありますから……ええ、助手がとうとう壊れてしまったんです。じゃ、お願いしますよ」

 受話器を置いてため息をつくと、ギューはお気に入りの安楽椅子に深く腰掛けた。

「やれ、忙しくなるなあ」

 どっと疲れの出たギューは、昔の思い出に浸りながら深い眠りへと落ちていった。


         双子のパーソネイター フィーナ編 END 




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